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「なぜ私が商品開発部に?」スーパーの営業担当と原料調達担当だった2人が異動して今思うこと

2023年3月30日、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は組織体制を変更しました。この変更によって、既存の3つの部門が統合され、「マーケティング本部」としてスタート。背景には、市場の変化に柔軟かつ迅速に対応し、新しいアイデアを実現するという戦略があります。
 
さらに「マーケティング本部」の傘下には「マーケティング統括部」「ブランドマネジメント部」「商品開発部」「産地形成グループ」を設置。なかでも「商品開発部」はブランド横断で商品開発に携わる新体制になっています。今回は、組織変更のタイミングで商品開発部に異動したお二人にお話をうかがいました。

(写真右)北条 歩里
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社2018年4月入社。
調達部 原料グループとして勤務した後、
2023年4月にマーケティング本部 商品開発部に配属。
飲料チームとして、飲料の開発を担当。

(写真左)小島 有紗
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社2019年4月入社。
営業として中部支社 名古屋支店(現在の東海北陸営業本部名古屋支社)にて勤務した後、2023年4月にマーケティング本部 商品開発部に配属。
食品チームとして、スープやレモン食品の開発を担当。


異動してきた二人が語る「商品開発部」のユニークな点

調達部から商品開発部に異動の北条さん

――北条さんと小島さんは、2023年の3月に新設された商品開発部に異動されました。商品開発部は、どのような部署でしょうか。

北条:私たちの所属する商品開発部は、新商品の開発を行うことが主な役割です。組織変更以前は、既存の商品ブランドの育成や改良を行う部署が平行して商品開発も行っており、商品開発に特化した部署は存在していませんでした。
小島:新たな体制の変化で大きなポイントは、担当商品に関する既存の枠組みを無くしたことです。これによってブランド間の垣根を越えた取り組みや担当割りが可能になり、社内リソースをより効率的に配分することができるようになりました。そして、広範な商品知識を得つつ、新しい市場のニーズに応じた商品開発を行うことができるのが大きなメリットでもあります。担当ブランドを持たない体制は業界でもユニークらしく、新規商品の開発に力を入れることができる組織体制になっています。

名古屋支社から商品開発部に異動の小島さん

――現在の商品開発のプロセスを具体的に教えてください。
 小島:新商品の開発は、お客様のインサイトを調査し、そのデータをベースに商品コンセプトを立てて、味覚・デザインを決めるところまでが商品開発部の仕事です。

北条:私たちは既存商品のリニューアルにも携わっています。その場合は同じマーケティング本部のブランドマネジメント部が、販売状況などを見ながら課題を割り出してリニューアルの方針を決め、その方針に沿って商品開発部が商品を作るというプロセスになります。
 
――担当ブランドを持たないという体制で商品開発を行う面白さは、どんなところにあると感じていますか。また、新体制ゆえの苦労などはありますか。
 小島:新しく異動してきたから、ということもあるのかもしれませんが、制約を知らないからこそ既存に捉われない提案ができるという面はあるのかもしれません。逆に対象となる商品群についての前提知識がないことも多いので、イチから勉強しなければならない部分は多いですね。

北条:担当ブランドを持つ場合よりも担当商品のカテゴリーの幅が広がるので、プレッシャーはあります。でも、その分さまざまな分野の知見が得られるメリットは大きいと思います

営業部門と調達部からの異動。異分野の経験が商品開発に活かされる

――お二人は組織変更と時を同じくして商品開発部に異動されました。前部署ではどんなお仕事をされていたのでしょうか。

小島:営業として中部エリアを担当していました。スーパーなどのクライアント企業に対して、商品導入や販売促進を提案するのが主な仕事でした。私は部署のポッカレモンの拡販プランの策定と実施の担当もしていて、どのようにしてポッカレモンを広く展開し、季節に合わせた関連販売を行うかを日ごろから考えていました。例えば、秋なら鮭にレモン、夏のバーベキューシーズンには焼肉にレモンなど、その時期にふさわしい提案を考え、チームで共有し、実際に提案に出向くといったプロジェクトを進行していました。
 
担当企業や自らの売上を伸ばすことにやりがいを感じることは当然として、自分が苦戦しながらも導入した商品が店頭に並び、その商品をお客様が手に取る様子を間近で見られたことも嬉しかった経験の一つです。その経験がたくさんの人に手に取ってもらえるような商品を開発したいという気持ちにつながっています。
 
北条:調達部の原料グループのなかで、レモンを中心とした果汁や飲料茶葉の調達を行っていました。私はレモン果汁や茶葉などの原料の質と量を担保するのが、前部署での業務でした。
 
特にポッカサッポロはレモンを使った商品が主力商品なので消費量が圧倒的に多く、こだわりもあります。レモンだけでも産地やパーツなど驚くほど多くの原料の種類があるんですよ。
それぞれの商品に、1種類の原料ではなく、様々な種類の原料が使われています。だからこそ、どれくらいの量のレモンをどこから調達するのかは、かなり難しい調整が必要です。特に最近は異常気象や新型コロナウィルスの影響が大きく、海外から原料が入ってこないことも多々ありました。しかし原料を切らしてしまうと生産ができなくなり、営業部門、ひいてはお客様に迷惑がかかってしまいます。そういったプレッシャーは常にありました。
でも、難しいながらも、他の部署からの協力を得られたときや、無事に原料を調達できたときには嬉しかったですね。どちらかというと、私は課題解決型の仕事が向いていると思ったのも、そんな経験からです。

――商品開発部への異動が決まったときはどんな気持ちでしたか。
 
小島:もともと、さまざまな部署を経験したいと思っていましたし、大学でマーケティングを学んでいた私にとって、マーケティングはやりたい仕事のひとつでした。でも初めての異動でそれがかなうとは思っていなかったので、正直驚きましたね。
 
北条:入社から5年間同じ部署に居たので、そろそろ異動になるという予感はしていましたが、商品開発部への異動は想定外でした。以前から商品開発やマーケティングに携わっている人ばかりの部署なので、専門的な知識のない私に務まるのかという不安の方が大きかったです。
 
――営業や調達という異分野の経験を持つお二人が「商品開発部に異動になった意義」は、どんなところにあると思っていますか。
 
小島:営業の知識を活かして、商品開発部で何か新しいことをしてほしいという期待があったのではないかと思います。あと、「現状、営業とマーケティングの間には大きな距離がある」という話も聞いていて、その距離を縮める橋渡し役としての期待を受けているかもしれないとも感じました。
 
北条:調達部門での仕事を通じて、原料に関する知識が広がり、原料を扱う研究所とのパイプができました。こういった経験を、新商品開発に役立てて欲しいと思われているのかもしれないと思いました。
 
――前の部署で得た経験のなかで、商品開発部のお仕事に活かしていきたいことはありますか。

小島:営業の現場にいたときに、本社とのコミュニケーション強化の必要性を感じ、上司にも提言していたんです。そこで、商品開発部への異動後、営業部門とマーケティング部門の情報共有を促進するため、営業現場の日誌やデータをマーケティングに活用する方法を提案し始めています。マーケティング部門の持つ俯瞰的な視点と営業部門の持つ現場感覚を併せ持つことができれば、商品開発に役立つと思いますし、その結果営業部門が納得感を持って商品を提案できるようになれば嬉しく思います。
 
北条:商品開発部は0から1を作ることが求められている部署だと感じています。ただ、そこに至るまでは顧客データを分析したり、各部署の調整をしたりといった地道なプロセスがあり、調達部で培った課題解決型の思考が役立つことを実感しています。調達部と商品開発部は全く違う仕事内容なので異動当初は不安がありましたが、今では異分野の仕事でも過去の経験を活かせる側面もあると知り、不安がやりがいに変化してきています

  

――はじめての異動を経験して、ご自身のキャリアに対する考え方が変化した部分はありますか。
 
北条:異動する前は前部署とは全く違う仕事をすることに不安がありました。でも商品開発部への異動を経験したことで、自分がどんな仕事にやりがいを感じ、どんな強みを持っているのかを再認識できたんです。異動というのは、今までの経験を活かし、また新たな経験が加わることによってキャリアの幅が広がることなのだと、ポジティブに捉えることができるようになりましたね。
 
小島:異動したことで、今後のキャリアプランについてより深く考えるようになりました。営業にいたころは3年から5年程度で異動して、さまざまな経験を積んでいくことを当然のことだと感じていました。でも商品開発部に異動してからは、ひとつの分野に精通したスペシャリストとして仕事をしている方にも多く出会い、刺激を受けています。これから先、さまざまな分野で経験を重ねるオールラウンダーを目指すのか、それとも特定の分野のスペシャリストを目指すのか、自分自身への問いが生まれました。

お客様に求められる商品を開発し、おいしさを超えた“情緒的な価値”も届けたい

――ポッカサッポロフード&ビバレッジの社員として、大切にしていること、誇りに思うことはどんなことでしょうか。
 
北条:素材や商品価値にこだわっている会社であることです。例えば柑橘の粒入り商品では白い皮の部分が出来る限り入らないように加工過程で様々な工夫がなされています。実際に工場で見学した際などに原料に関してもこだわりを感じ、誇れる部分だと思いました。
また、商品開発の過程で、一つひとつの商品にはしっかりとした背景やストーリーが作り込まれているんだということがわかってきました。商品の随所にこめられたこだわりを、社内外の方に、もっと伝えていきたいですね。
 
小島:私が営業活動をしていたときに、ポッカサッポロの商品はおいしさを超えた「情緒的な価値」を訴求できていると感じていました。たとえば「キレートレモン」一つを取っても、単にすっぱいだけでなく、すっぱい味わいで気分もリフレッシュさせてくれるような商品になっていたり、「じっくりコトコト」のスープは、短い時間でもほっと一息つけるような、心の安らぎを提供していたり。これから商品開発をするなかでも、商品が持つ情緒的な部分を大切にしていきたいと思います。

――ポッカサッポロフード&ビバレッジでは社員全員が価値観を共有し、組織、個人が仕事に向き合うスタンスを示したものとして3つの「私たちの約束」を掲げています。お二人はこの約束に対してどのように行動していこうと思っていますか。
 
<私たちの約束>
1. お客様と徹底的に向き合おう!
2. 先を読み、スピードを持って挑戦し続けよう!
3. 仲間と「ヒラメキ!」を実現しよう!
 
北条:商品開発部は新しい商品を作り出す部署なので、「私たちの約束」全てが業務内容だといえます。特に「お客様と徹底的に向き合う」という部分は大切にしていきたいですね。お客様のニーズや、潜在的なインサイトの部分も深堀りして、求められる商品を開発していきたいと思っています。
 
小島:この部署には、長くマーケティングに関わり続けてきた経験豊富な先輩方がいます。そういった部署の先輩をはじめ、他部署の方々とも力を合わせて、お客様のニーズを捉えた確度の高い商品開発をしていきたいですね。


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