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社員が理念を自分ごと化し、自走できるために。理念体系浸透推進プロジェクトの活動とは

ポッカサッポロでは、2022年4月に「新理念体系」が策定されました。そして2023年、その理念を理解し、社員一人ひとりが“自分ごと化”して行動できるよう「理念体系浸透推進プロジェクト」が発足。社内外に対してさまざまな施策を展開し、新理念体系の浸透を進めています。

理念体系浸透推進プロジェクトとして、どのような想いで、これまで施策を実施してきたのか、そして、新理念体系が浸透した先でどういった姿を目指しているのか。プロジェクトチームで活動する東日本営業本部の石原晴行さん(オンラインで参加・部署名は取材当時)、マーケティング本部ブランドマネジメント部加藤貴義さん(トップ画像左)、同本部ブランドマネジメント部デザイングループ佐原暢さん(同画像右)にお話を聞きました。


2022年に新理念体系が発表。社内外にはどのくらい浸透している…?

――2022年4月に発表されたポッカサッポロの「新理念体系」について教えてください。
佐原:サッポロ飲料とポッカコーポレーションが統合して、ポッカサッポロフード&ビバレッジとなったのが2013年のことでした。それから10年目を迎えるタイミングで、2030年に向けて私たちの道しるべとして策定したのが新理念体系です。

2022年に発表した新理念体系の
私たちの使命と私たちのありたい姿

「人と社会と向き合い、未来の食のあたりまえを創造する」という「私たちの使命」をベースに、2030年までの「私たちのありたい姿」として「レモンをはじめ植物性素材を中心においしい以上の価値を届け『あなたの毎日に寄り添えるパートナー』になる」ことを目指しています。

――この新理念体系には、どのような想いが込められているのでしょうか。
佐原:ポッカサッポロの価値をどう尖らせていくのか、という指針だと思っています。理念体系の中にあえて“レモン”という言葉を入れて、レモンを中心に世の中のあたりまえになる、という想いが込められていますね。

加藤:我々はレモン以外にも飲料やスープなどの事業を掲げていますが、その中でも「ポッカレモン100」などのレモン食品の市場シェアはNo.1です。また、半世紀以上にわたり、レモンについて研究・開発してきたという歴史もありますし、何よりもレモンは健康価値が高い素材なので人々の健康にも貢献できる。だからこそ“レモン”という言葉を理念体系の中にも、あえて入れています。

モニターは東日本営業本部(当時)の石原さん
11月から東京本社の営業戦略部で勤務

――新たな理念がスタートして1年半が経ちました。ここまでの社内の浸透具合は何点くらいだと思いますか。
石原:そうですね……現状だと60点ぐらいでしょうか。先日、営業部署の若手社員がプレゼン資料の冒頭で、誰にも言われることなく新理念の説明ページを入れて、プレゼンでも説明していたんです。自分で理念について考えて行動できているのを見て、浸透が進んでいるなと感じました。ただ、まだまだ社内の意識は高められるな、と思っていますね。
 
我々は、お得意先をはじめとした社外の方にも、私たちの理念を知ってもらえている状態があるべき姿だと考えています。2030年まで社内の理解度と社外の認知度をもっと高めていきたい。そういう意味で今のところは60点だと思っています。
 
佐原:私は70点ぐらいかなと思います。社内にはもっと浸透を進めていって、社員一人ひとりが自走できる状態にしたいです。それだけでなく、パートナー企業やお得意先、ひいては生活者に向けてどう発信し、ポッカサッポロの理念に共感してもらうのかが重要で、これを達成することが最終目標だと思っています。そうなると、まだまだ道半ばですね。

プロジェクトの事務局と「ツールチーム」でデザインを担う
佐原暢(とおる)さん

加藤:社内の認知・理解という点については80点くらいでしょうか。ただ次の“行動”というフェーズにおいては個人的に50点ぐらいという印象です。今年の春に新理念に関する社内アンケートを取ったのですが、「自分ごと化」して行動できている人と、まだ行動フェーズに移せていない人の差があるな、と感じています。 社員が理念を自分ごととして捉えて行動できるための仕掛けも地道につくっていきたいですね。

理念のあるべき姿・ありたい姿を目指すために、理念体系浸透推進プロジェクトを結成

――今年発足した「理念体系浸透推進プロジェクト」について教えてください。
石原:2022年に策定された新理念体系ですが、ただ発信されただけでは意味がありません。そこで、新理念体系をより浸透させて、理念のあるべき姿・ありたい姿を目指していくためのきっかけとなる施策を企画・運営する「理念体系浸透推進プロジェクト」を立ち上げました。
 
このプロジェクトは2023年にスタートし、各部署に推進リーダーを置いて活動しています。まず部署長が浸透推進の旗を振り、その環境下で推進リーダーは部署メンバーに新理念の理解促進や新理念に即した行動を促す役割を持っています。そうやって社内に浸透させることで、社員一人ひとりが「自分ごと化」すること、そして来年2024年以降はそれぞれで主体的に行動できることを一つの目標としています。

――新理念策定にあたって新たなシンボルマークが作られたとうかがいました。こちらのシンボルはどのような想いで作られたのでしょうか。
佐原:シンボルマークは新たな理念体系を表しました。なので、プロジェクトの施策についても、このシンボルマークから派生したイメージで作り上げています。

レモン・地球・新芽を表現した新理念体系のシンボルマーク

シンボルマークについて簡単に説明すると、まず左は見て分かる通りレモンです。これが私たちのありたい姿を表現しています。そして、右側にある円は地球。私たちが向き合い続ける人と社会です。このレモンと地球が合わさって創造されるものが、私たちのベースとなる「未来の食のあたりまえ」となる。これをシンボルマークで表現しています。

名刺、工場見学、推し活……さまざまな側面から新理念体系の浸透・推進を促す

――プロジェクト内には「ツールチーム」「コミュニケーションチーム」「地域社外取組みチーム」があると伺いました。それぞれどんな活動をしているのか、教えていただきたいです。
佐原:まず「ツールチーム」では、社内だけでなく、社外に向けた理念を認知してもらうツールを作成しています。企画からデザイン制作までをアウトソーシングすることなく、チーム内においてワンストップで行うので、社内の声を俊敏に反映することが可能です。
たとえば、名刺の裏側には、大きくシンボルマークと私たちの使命が書かれており、添えてある二次元コード からホームページへ遷移できるようになっています。そのページは新理念体系の詳細が書かれているのですが、理念の「ありたい姿」については社員自らが語る、という仕様にしたんです。自分で語れるということは、その人の中で浸透しているということだと考えているので、あえてそういう仕掛けにしました。

また、同じような狙いで、オンライン会議時のカメラ背景画像も作成しています。お得意先とオンライン会議をしていて、目立つ背景画像だと「その背景なんですか?」と自然に会話が生まれると思うんです。そのときに「我々が目指す2030年の姿をビジュアル化したものです」と、自分の言葉で伝えてほしい。そんな背景画像を何パターンか用意しています。
 
加藤:お得意先やパートナー企業様とオンライン会議をする際、この背景画像を使っていると、先方から質問していただくことが多いんです。こちらとしては「その質問、待ってました!」という感じですね(笑)。これを説明することで、会議のアイスブレイクにもなります。

名刺の裏側に大きく描かれたシンボルマーク(左)とオンライン会議時のカメラ背景画像(右)

――ありがとうございます。続いて「コミュニケーションチーム」についても教えてください。
加藤:各部署にいる推進リーダーを集めて交流会を開催しました。他部署同士の相互理解やプロジェクトに対する要望・意見を聞く場を作ることが目的です。
あとはプロジェクトメンバーがいる部署限定で「推し活」という活動もスタートしています。現状、100〜150人ほどで活動しています。社員だけが閲覧できるイントラネット上で、自分が好きな商品、関心のある商品を自分の言葉で語るんです。それを他のメンバーがフォローしたり、コメントしたりして盛り上がっています。
 
自分たちの商品の想いや思い出について語ると、商品の新たな魅力の発見にもつながるんですよね。社員が商品の「おいしい以上の価値」を再発見する場としても機能してほしいという想いがあります。

「コミュニケーションチーム」リーダー 加藤貴義さん

石原:私が印象深いなと思ったのは、「推し活」の投稿の中で子どもと公園へ遊びに行ったときに「Ribbonふってふってゼリーグレープ」を買って飲んだという投稿です。この投稿のコメント欄で他部署の人がコメントをして盛り上がっていました。ゼリー飲料がおいしかったということだけではなく、子どもと過ごすかけがえのない瞬間、そういったものを含めて「おいしい以上の価値」を表現できている。このようなことが結果的に推し活を通して、理念の浸透につながっていると思います。

プロジェクトメンバーがいる部署で進めている「推し活」とそのロゴ

――なるほど、ありがとうございます。次に「地域社外取組みチーム」についても教えてください。
石原:まず行ったのは社員向けの「ファミリー工場見学」ですね。新入社員研修では、工場研修に行くのですが、中途入社の社員など工場に一度も行ったことがない社員は意外にも多いんです。そこで、まずは社員とその家族に工場を見学してもらうことで、家族にも当社のファンになってもらおうと、群馬と名古屋の工場で実施しました。

「地域社外取組みチーム」リーダー 石原晴行さん

工場の理念体系浸透推進プロジェクトメンバーの発案で、群馬工場ではオリジナルスープ作りや豆乳の飲み比べ、名古屋工場では 手作りラッシー体験など、お子さんに喜んでもらえる工夫をしてくれましたね。その甲斐もあって、アンケートでは「よかった」「大変よかった」という答えしかありませんでした。
 
あとはポッカサッポロが制定した クエン酸の日(9月3日)に「キレートレモンWレモンの差し入レ企画」も行いました。これは昨年から実施している企画なのですが、普段からお世話になっている企業にキレートレモンを差し入れするというものです。もともと「クエン酸の日」は夏バテで疲れが出やすくなる時期にクエン酸を多く含むレモンで元気に過ごしてほしいという想いを込めて制定していますし、「差し入レ」の「レ」は「レモン」をもじっています。レモンを通じて「おいしい以上の価値」を広げていきたいという社外向けの企画として始めました。

「差し入レ」のロゴを用いた挨拶状や熨斗

加藤:この「差し入レ企画」は、お得意先やパートナー企業様へ「このような企画をやりたいです」と社員自らの言葉で企画趣旨を伝えていかなければいけません。こういった施策を通して、自分ごと化を促していくことも目的のひとつになっています。

プロジェクトチームがなくても、社員全員が新理念を自分ごと化して自走できる状態を目指す

――最後になりますが、今後の展望・目標などについて教えてください。
佐原:いろいろな施策を約1年かけて実施し、いろいろな種まきをしてきました。ありがたいことに、我々のプロジェクトチームをはじめ、各所からさまざまな情報があふれている状態となっているんです。
 
そこで、社員がいつでも閲覧できるように新理念体系に関する情報やデータを集約するポータルサイトを作りたいと考えています。そうすることで、より社員一人ひとりが理念を自分ごと化して、当たり前に、日常になっていくのかなと思います。
 
加藤:先ほどお伝えした「推し活」は、まだテスト的に実施している企画です。なので、早めに全社に拡大したいですね。

理念体系の各ツールや推し活を今後もさらに拡げていきたいと語る 加藤さんと佐原さん

石原:ポッカサッポロは、次世代の育成やスポーツ活動、地域清掃、環境対策、文化・芸術支援、災害・被災地支援など、さまざまな社会貢献活動や地域活動もしています。こんなに活動しているのですが、実はあまり社内でも知られていません。他部署がどんな活動をしているのか、分からないんですよね。
そのためにも、もっと社会貢献活動や地域活動を盛り上げていきたいですね。こういった活動はお得先も巻き込んで活動しますので、「おいしい以上の価値」を伝えることにつながると考えています。
 
まだ新理念体系ができて2年です。2030年に向けて、より理解が進み、みんなが行動できる、そんな活動を私自身の活動としても推進していきたいと思っています。そして一人ひとりが社外に対しても自らの言葉で語っていくことで、多くのお客様にも知っていただけたら嬉しいです。


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