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社員の想いがサステナビリティの新たな取り組みへ【TOCHIとCRAFT「千里浜再生プロジェクト」応援編】

もしかしたら意外に思われるかもしれませんが、ポッカサッポロの本社では、後ろを振り返ると社長や取締役の方々が立っている……なんてことは日常茶飯事です。そんな社員同士の距離が近いからこそ、社員の声が新たな取り組みにつながることも。今回は、お世話になっている石川県に恩返しをしたいという現場の想いから、「加賀棒ほうじ茶」の売上の一部を『千里浜再生プロジェクト実行委員会』に寄付するという社内の取り組みにつなげた、発案者の妹尾さんと当時の上司の梅津さんに話を聞きました。

【写真左】妹尾 宏美
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 カスタマーリレーション本部 コミュニケーション室
2015年入社。営業職として名古屋量販支店、北陸支店を経て、コミュニケーション室へ。現在は恵比寿本社にて飲料ブランドの事業戦略パートナーとして、商品開発の支援、調査関係の業務などを行っている。

【写真右】梅津 雄大
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 営業本部 東海北陸営業本部 北陸支店 アシスタントマネージャー
1990年入社。営業として関東・関西エリアの各部署を経て、北陸支店へ。現在は「加賀棒ほうじ茶」をはじめとした商品の家庭用、業務用チャネルへの営業活動を行っている。

日常に"あたりまえ"の加賀の棒茶


妹尾:私は入社以来、営業としてのミッションを果たすために、当社の加賀棒ほうじ茶(以下、『加賀棒ほうじ茶』)も他の自社商品と同じように、売上を最大化することを主軸において量販店や観光地への営業活動に臨んでいました。

妹尾:そんな私の意識を変えたのは、地元の方の加賀の棒茶への愛でした。
多くの方とお会いすることで、地元の方には地元への強い愛があり、守るべき文化があり、加賀の棒茶は単なるお茶ではないのだと気が付きました。

梅津:私は北陸支店に配属になるまでは、実は石川県に来たことがありませんでした。だからこそ、スーパーの売り場に加賀の棒茶のリーフ(茶葉)や、『加賀棒ほうじ茶』、地元のお茶屋さんが出しているペットボトル商品もたくさん並んでいることには驚きました。
 
実際に商談の場でも普段から、茶葉から淹れて飲んでいるというお話をよく聞くほど、石川県の人にとって加賀の棒茶は日常で“あたりまえ”のお茶なんです。東京の人が麦茶や緑茶を飲むのと同じ感覚ですよね。『加賀棒ほうじ茶』にしても、エリア人口あたりで見れば全国1位の販売実績があります。

妹尾:北陸支店に配属後間もなくコロナ禍となり、私は一人の時間をSDGsや地方創生を学ぶ機会にあてました。改めて学ぶことで、石川県や加賀の棒茶の文化にもっと向き合う必要があると考えるようになったのです。
 
『加賀棒ほうじ茶』は石川県の大切な文化をお借りし、地元で焙煎している商品です。長く愛し続けていただくことが地域の循環につながるからこそ、ただ売るだけが営業の仕事ではないのだと会社に提言したいと強く思いました。
 
そんな中、2020年の冬に会社で新しい公募制度「Small Success Program(以降、”SSP”)」が始まりました。社員が「日頃、働いている中で見つけた、取り組んだらより良くなりそうな小さなこと」を応募し、経営層が直接選出するというものです。
公募制度のことを知った時、「『加賀棒ほうじ茶』を、地元の方に愛してもらえる商品にしたい」「文化をお借りしているからこそ、石川県に何かを返したい」という想いを行動に移すチャンスだと感じました。ポッカサッポロの私たち、販売者の皆さん、生産者さん、ご購入いただくお客様、全員で一体感を持ってできることはないだろうか──。私はまず羽咋市と宝達志水町が中心になって進めている「千里浜再生プロジェクト」へ当社も協力できないかを考え、加賀棒ほうじ茶の北陸エリアでの売上の一部を環境・観光資源の保全に役立ていただけるよう、寄付することで、生活者の方とコミュニケーションが取れる場を作る企画をSSPに応募しました。
 
しかし、結果は落選。小さな支店の声なんて気づいてもらえないのだと思い、とてもさみしい気持ちになりましたね。

千里浜海岸

【千里浜海岸の現状】
石川県の羽咋市千里浜町から羽咋郡宝達志水町今浜にわたる「千里浜海岸」。潮風を間近で感じながらドライブを満喫できるこの海岸は「千里浜なぎさドライブウェイ」と呼ばれ、石川県の貴重な観光資源になっています。砂浜の侵食により1994年には50mほどあった砂浜が、2011年には35mほどまでに砂浜幅が減少。このまま放っておいては、石川県の人々にとって貴重な資源である千里浜が、近い将来、海の中に消えてしまいます。

参考①:羽咋市HP「千里浜再生プロジェクト」
参考②:TOCHIとCRAFT「地域の魅力発見」


想いをぶつけた「社長キャラバン」


妹尾:2021年の春、社長が全部署をめぐり、社員の話を聞くという「オンライン社長キャラバン」が行われました。またとない機会に私は、同じ部署の先輩と加賀棒ほうじ茶への思いをふたたび伝えることにしたのです。
一社員の企画なんて覚えていないかも……という私の不安とはうらはらに、社長は私の企画を覚えてくれていて、「私はこういった取り組みに共感できる」とまでおっしゃってくださいました。すごく嬉しかったですね。社長に「今でもやる気はあるか」と問われ、「あります。自分の時間を使ってでもやりたいです」と即答したことを今でもよく覚えています。
 
この日から、『加賀棒ほうじ茶』を通してのサステナビリティへの取り組みが始まりました。SSPや社長キャラバンなど、たまたま始まった社内制度で勇気を出して発言したからこそ成立した企画でしたね。

梅津:社長キャラバンは、北陸支店のメンバーにとっても大きなきっかけになりました。当時、ほうじ茶市場全体が大手競合品に売り場を取られて厳しい状況にあり、私たちは『加賀棒ほうじ茶』で独自のポジションを作りたいと考えていたところだったのです。
そんな状況もあって「千里浜再生プロジェクト」を応援する企画は、『加賀棒ほうじ茶』が石川県に由来のあるものだと伝えられるだけでなく、北陸独自の仕事として地元のお役に立てるということでもありました。
 
社長キャラバン当日は、日々営業活動をしている中で感じたことや、『加賀棒ほうじ茶』への想いを社長にぶつけました。北陸支店では普段から上司・部下関係なく熱く意見交換するなど、垣根を超えて自由に発言できる環境があったので、社長に対しても「ここまで言っていいのかな」というレベルで正直な気持ちをみんな話していましたね

撮影場所:能登千里浜レストハウス

加賀棒ほうじ茶を愛する人でチームを結成


妹尾:プロジェクトの実現に向け、すぐにチーム結成へと動き出しました。私は、『加賀棒ほうじ茶』への愛が特に大きい人と一緒にお仕事をしたかったので、実は名指しでお願いしたんですよね。本社のサステナビリティの部署の方をはじめ、関係部署の方、会社でTOCHIとCRAFTに関わる最前線の人たちに声をかけていたので、周りから「怖いもの知らずだね」なんて言われることも……。
でも、皆さん本当に、『加賀棒ほうじ茶』やポッカサッポロのことを愛している方たちだったので、断られない自信がありましたし、実際に誰からも断られませんでした。
 
無事に社内で「千里浜再生プロジェクト応援チーム」が結成され、ミーティングを行う中で、営業視点だけではイメージできなかったアイデアがたくさん出てきました。「TOCHIとCRAFTのブランドをどう育成していくか」「新聞やラジオなどマスメディアをどう活用していくか」「サステナビリティ関連でどう伝えていくか」など、部署それぞれの得意分野の観点からアドバイスをもらいました。さらに、北陸支店のメンバーからも地元視点で意見をもらい、トントンと話が進んでいったのです。

地元の方の「ありがとう」で実感


妹尾:2021年の4月に社内で「千里浜再生応援プロジェクト」がついに始動しました。ようやく“大きな一歩”を踏み出せた、という気持ちでしたね。北陸エリアの地元紙に私たちが、千里浜再生プロジェクトを応援している事を伝える広告を掲載したり、ラジオで直接この取り組みについて社長や私が説明したりもしました。何よりも嬉しかったのは、地元の方々に「ありがとう」と言っていただいたことですね。
もちろん、取り組みはまだスタートしたばかり。これからも地元の力をお借りしながら、『加賀棒ほうじ茶』を通して石川県のお役に立てる仕組みづくりを深化させていきたいです。

梅津:「千里浜再生プロジェクト」への参画後は、多くのお客様から感謝の言葉をいただいたり、『加賀棒ほうじ茶』のことをお話する機会も増えました。また、行政との取り組みも深まり、商品を販売したい、と思っていただけるようになりましたね。皆さんのお力を借りながら、営業活動に活かすことができていると感じています。
 
今後の目標としては、我々がまだ把握していない売り場を知り、加賀棒ほうじ茶との接点を作っていきたいです。もちろん、それだけではなく、本来の「千里浜再生プロジェクト」の取り組みである一人一砂運動や海岸の清掃活動への参画、さらにはポッカサッポロ独自の取り組みなども行っていきたいと思っています。

一人一砂運動を行う際に、千里浜海岸に捲くための砂

一人一砂運動とは?
一人一砂運動とは千里浜海岸の再生を目的としたプロジェクトの1つ。(千里浜再生プロジェクトは、毎年夏季に一人一砂運動イベント「千の浜守人(ハーモニー)」を催しているが、コロナ禍により現在は休止中)

参考:羽咋市HP「千里浜再生プロジェクト」
写真:ポッカサッポロ北陸支店社員による千里浜清掃の様子
※清掃中は全員マスクを着用し、写真撮影の時のみ外しています

石川県の地に住み、文化を知り、そして生まれた地元への想い。さまざまな取り組みを通して地域に貢献しながら、ポッカサッポロはこれからもTOCHIとCRAFTブランドを大切に育てていきます。

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