新たな手法の商品開発で誕生!『食事に合う無糖炭酸水 ソムリエウォーター』開発までの道のり
2024年4月22日、新商品『食事に合う無糖炭酸水 ソムリエウォーター』2品が発売となりました。(現在はAmazon限定発売)
『食事に合う無糖炭酸水 ソムリエウォーター』(以下ソムリエウォーター)は、ポッカサッポロの主力商品である「ポッカレモン100」や「キレートレモン」に次ぐ商品を生み出す目的で2023年春からスタートした新商品開発プロジェクト第1号の商品です。通常の商品開発フローや発売方法と異なり、社内の複数部署に加えて、Amazon限定の先行販売に向けてアマゾンジャパン合同会社(以下Amazon社、Amazon様、販売サイトはAmazonと表記)や外部コンサルティングも加わりながら開発を行った、新たな手法へ挑戦した初めての商品なのです。
そんなソムリエウォーターの開発に携わった、新市場創造部の菊池紗弥伽さん、EC営業部Amazon社担当の多々納康介さん、岡本静香さんに、開発の裏話や商品に込める思い、Amazon様との取り組みについてお話を聞きました。
「関係者みんながワクワクしながら取り組んだ」ゼロからスタートした新商品プロジェクト
ーまずは「ソムリエウォーター」の開発がスタートしたきっかけを教えてください。
菊池:2023年4月に商品開発部が発足し、ポッカサッポロのメインブランドであるキレートレモンやポッカレモンに次ぐ新商品を開発するため、自社の資産を活用しながら、新しい視点を取り入れるための外部コンサルティングの先生も加わったプロジェクトが始まりました。
まずはポッカサッポロの強みを生かせる市場はどこかを選定し、「無糖レモン炭酸水」の市場に着目しました。実態把握を進めると、30~50代の女性が炭酸水を飲んでいる方が多いことがわかりました※。その後、社内で調査をしたところ、炭酸水を食事と合わせてお酒の代わりに愉しまれている方がいる一方で、一般的なレモン炭酸水は強炭酸で人工的なフレーバーが多く、食事には合わせにくいと感じている人がいることもわかりました。それであれば、“食事に合う”ことだけにフォーカスした商品に可能性があるのではないかと考え、開発を始めました。
※「炭酸水に関するアンケート調査(第2回)」2021年8月 マイボイスコム調べ
―開発をスタートしてからは、どのようなことに取り組みましたか?
菊池:商品開発部のメンバーと上長の14名で日々アイデアを出し合いながら、議論を重ね、容器、デザイン、中身の開発を進めました。社内でターゲット層と同じような状況の方に「普段どんな食事をしているのか」「食事中になぜ炭酸水を飲むのか」「どんなデザインなら食卓に置きたいか」などヒアリングもしましたね。また、今回は社内のデザインチームにコンセプトづくりの段階から協力してもらい、ブレストを重ねて「食事に合う」というコンセプトや「ソムリエウォーター」という名称も決めていきました。
既存ブランドの新しい商品の開発ではなく、ゼロから新商品を開発するのが会社としても久々だったこともあって、社内のデザインチームや研究所のメンバーからも「嬉しい」という声が多かったのが印象に残っています。自分も含め、協力をお願いした社員みんながすごくワクワクしていたように感じていました。
まるでワイン! 食事に合わせて2種類をマリアージュ
―ソムリエウォーターは「肉料理用」「魚介料理用」の2種類のフレーバーを展開していますが、どうして2種類なのでしょうか?
菊池:“食事に合う”というコンセプトを伝えるためにはどうしたらいいだろうと考え、ワインを肉料理、魚料理に合わせて飲むように、2種類あることで普段の食事に合わせていただきやすいのではと考えました。
―2種類それぞれの特長と楽しみ方を教えてください。
菊池:「肉料理用」は、油っぽい肉料理と合わせておいしく感じられるようにすっきりとした酸味があり、完熟レモンのフルーティーな香り※が特長です。既存の炭酸水は脂をさっぱりと流すような商品が多いですが、脂もおいしく味わえるような味覚設計にしています。※香料使用
「魚介料理用」は、魚の臭みを和らげておいしさを引き立てるような、早摘みのグリーンレモンのフレーバーを使っています。そして、社内の日本酒好きな先輩方からもらった「日本酒と寿司って合うよね」「日本酒にあるような旨味が魚と合う」という声をヒントにして、隠し味にうまみ成分として昆布エキスを入れてみました。相乗効果で魚介のうまみをアップさせるし、単体で飲んでも口当たりがまろやかです。
「肉料理用」は唐揚げやステーキ、ハンバーグやローストビーフなど、「魚介料理用」は寿司や魚の塩焼き、アジフライなどに合います。また、2種類のどちらも自然なレモンフレーバーと優しい微炭酸で食事の邪魔をしないのが特徴です。
―この味を決めるのにはどれくらいの期間がかかったのですか?
菊池:通常の新商品開発の場合は2~3か月ほどかけますが、今回は約1カ月というかなりタイトなスケジュールで進めました。ペアリングの本を読むところから始まり、商品開発部のメンバーや研究所の方々に協力していただきながら、ひたすら試食と試飲を繰り返しました。
途中、シャンパンをイメージして白ブドウや赤ブドウのフレーバーを組み合わせたり、生ハムメロンをイメージしてメロンフレーバーでの試作もしてみたりしましたが、あまりしっくりこなくて……やはりレモンのフレーバーにしようと決めました。ポッカサッポロには完熟から早摘みまでいろんな種類のレモンフレーバーがあるので、どのフレーバーが合うかを30本くらいの試作品の中から、一口ずつ飲んで確かめていきましたね。
―多々納さん、岡本さんは、ソムリエウォーターを初めて飲んだとき、どのように感じましたか?
多々納:私は強炭酸が苦手なので普段は炭酸水をあまり飲まないのですが、この商品は微炭酸なのですっと入ってきて飲みやすく、私のような人も手に取りやすいのではないかと感じました。
岡本:私は普段からフレーバー炭酸水を飲みますが、それと比べても「ひと味違うな」と感じました。個人的には魚介料理用が好きです。うまみエキスが入った炭酸水は他にあまりないですよね。あと、サイズもちょうどいいなって思いました。
菊池:コップに注ぐとちょうど2人で分けられるくらいの量にするために、410mlにしました。容器もワインのような瓶や、プシュッと開けられる缶などいろんな案がありましたが、皆さんになじみのあるペットボトルにしました。
――ワインソムリエの方にも試飲をお願いしたそうですね。
菊池:はい。サッポロビールのワイン事業部から、3名のワインソムリエの方々に試飲していただきました。ソムリエウォーターで食事がおいしくなるだけではなく、食事の塩分でソムリエウォーターもおいしく味わえるとお墨付きをいただけたのが嬉しかったです。
また、肉に合う炭酸水はよくあるが、魚介に合うのは珍しいとも言っていただけましたね。ラベルに描かれているレーダーチャートも、ソムリエの方の評価をもとに作成しています。
―パッケージのデザインを決めるうえでは、どのようなことを意識しましたか?
菊池:日常生活に溶け込みやすく、かつ食事に合うことが端的に伝わるデザインを意識しました。初期の段階から白い背景に「ソムリエ」という文字を入れることは決めていて、そこから社内のデザイナーの皆さんが最後の最後まで微調整をしてくれました。
最も苦労したのは、それぞれのイメージカラーや、食事に合うというコンセプトの伝え方。レーダーチャートを記載したパッケージを受け入れてもらえるか不安だったので、Web調査を実施したりもしました。
―ソムリエウォーターはレモンのフレーバーが特徴ですが、ラベルにはレモンの絵が入っていないんですね。
菊池:レモンをあえてラベルに入れないことも、大きなチャレンジのひとつです。「ポッカサッポロはレモン事業を展開している会社なのにアピールしないのはもったいないんじゃないか」という声もありましたが、「レモンというだけで酸っぱそうなイメージを持たれてしまい、手に取らない方がいてはもったいない」ので。普段、フレーバーのついていない炭酸水を飲んでいる人にも手に取ってもらえるのではないかと考えました。
あえてAmazon限定でのテスト販売からスタートする理由
―「ソムリエウォーター」はAmazon限定でのテスト販売からスタートするそうですが、その理由を教えてください。
菊池:炭酸水購入ユーザーと親和性が高いチャネルとしてAmazon様でテスト販売をさせていただきたいと思いました。また、今回の商品は初めてアジャイル開発(テストを繰り返しながら開発を進めていく手法)を採用するため、店頭販売ではなかなか得にくい販売データや購入者からのレビューをもらえるAmazonを活用することにメリットがあると考えたんです。
でもなにより、多々納さん、岡本さんのこれまでのご活躍を見て「二人にまかせれば大丈夫」という気持ちが一番大きかったかもしれません。部内でも意見が一致し、開発開始から約2カ月後というかなり早い段階からお二人にもご協力いただきました。
―菊池さんからお話があったとき、多々納さん、岡本さんはどう思いましたか。
多々納:既存ブランドでのAmazon限定商品は販売していますが、ノーブランドの限定商品を販売するのは今回が初めてで、本当にチャレンジングだと思いました。どんどん商品数を削減し、売れる商品を維持していくという動きが進む中で新商品を販売するのは簡単なことではないのですが、純粋にうれしかったです。
岡本:(ポッカポッカサッポロとしては)Amazon様と数年前よりお取引を開始し、社内の他の部署の方々の協力も受けながら、取引を拡大成長させてきた中で、今回のお話を「まずはAmazonでローンチしたい」と思っていただけるくらいに社内のプライオリティーが上がってきていることが、うれしかったですね。
――Amazon社に初めて提案をしたときは、どんな反応でしたか。
多々納:最初に提案へ行ったときは、ソムリエウォーターと一緒にお寿司と唐揚げを持って行きました(笑)。実際に食べ物とのマリアージュを実感していただけたことで、すごく反応が良かったですね。Amazon様には、今回のテスト販売から今後のオフラインへの展開を含めて連携を強化したいとおっしゃっていただけました。
岡本:これまで実際にお寿司や唐揚げとあわせて商品を試飲してもらうような機会はなかったので、Amazon様にとっても新鮮な提案になったかなと思います。
ーAmazon社とどのように話をすすめていったのでしょうか。
岡本:競合の商品がたくさんある中で、どのように商品をプロモーションしていくかといった、売り方についての議論を重ねました。
多々納:既存ブランドでは顧客のロイヤル化に軸を置くケースもありますが、今回の場合はいかに新規顧客を獲得するかが軸になります。そのため、いかに他社と差別化を図ったプロモーションができるかを、Amazon様と連携を取りながらこだわりを持って取り組んでいます。Amazonのサイト内だけでなく、サイト外からの集客についても話し合ったのも新鮮でしたね。
Amazon様とのブレストには、菊池さんや他部署の方々にも参加してもらいました。既存ブランドではここまでブレストをすることはなかったので、お互いの知見からいろんな意見が出て面白かったです。今までとは違った新しい取り組みの中で、Amazon様にも私たちの思いはすごく伝わったのかなと感じますね。
岡本:いくつかの飲食店でソムリエウォーターを提供し、実際に飲んでいただいたお客様の生の声を調査する予定です。
食事に合う無糖炭酸水 ソムリエウォーターは、社員みんなの思いが詰まった“知恵の結晶”
―さまざまな初めての取り組みを経て、発売を迎える今、どんな気持ちですか。
菊池:もう、愛おしいですよね。私一人ではなく、多々納さんや岡本さん、開発まで導いてくださった上司、外部コンサルの先生、デザインチームや研究所、生産部、アドバイスをくれた先輩方など、たくさんの方々の協力を得て発売できるので、本当にありたがく、嬉しいです。ソムリエウォーターは、社員みんなの意見が集約した“ポッカサッポロの知恵の結晶”だと思っています。
多々納:シンプルに、楽しいですよね。開発にあたっていろいろと大変なことがあったはずですが、菊池さんをはじめ、関わったメンバーが楽しんでいるからこそ乗り越えられたんだと思います。みんなの思いを感じられる商品なので、岡本さんと「これは売らないといけないよね」と話していて。会社全体のいろんな部署を巻き込んで作りあげたことにも魅力を感じますし、ぜひ成功させたいなと思っています。
菊池:みなさんが「ソムリエウォーターの開発にかかわれて楽しい」とか「思い入れがある」と言ってくださるのがすごくうれしいんですよね。開発にあたって社内ではさまざまな声があったのですが、だんだんと仲間が増えていくのが楽しかったです。社内のみなさんには「自分が関わった商品なんだ」という思いを持っていただき、楽しさを共有しながら発売を迎えたいですね。
―これからソムリエウォーターを手に取る方に、どのように楽しんでいただきたいですか?
菊池:日常生活のテーブルウォーターとして楽しんでいただきたいです。ソムリエウォーターが白米にも合うのにびっくりしました。みなさんもいろいろな料理に合わせて、食の楽しみを広げていただきたいですね。
多々納:今はお酒を飲まずに炭酸水を楽しむ人も多い時代です。だからこそ、パーティーシーンなどで、お酒と一緒にソムリエウォーターが並んでいるという光景が見られたら嬉しいですね。あとは「レモンの会社だからこそ作ることができたレモン風味の炭酸水」ということも、伝えていけるといいなと思います。
岡本:レモンにはイエローレモンやグリーンレモンなどいろんな種類があるので、ソムリエウォーターを通じて酸っぱいだけじゃないレモンの味の違いを感じていただきたいなと思います。
――最後に、これからソムリエウォーターをどのような商品に育てていきたいですか。
菊池:2年目、3年目以降は全国発売に展開し、キレートレモン、ポッカレモンに次ぐ大きなブランドに成長させたいです。テーブルウォーターとしてみなさんの日常生活にずっとある存在にしていきたいと思います。
多々納:ソムリエウォーターは多くの方にご尽力頂いて開発した商品なので売らなければという使命感がすごくあります。そのためにはAmazonのテスト販売でさまざまなラーニングを得ることが私たちのミッションだと思うので、これをしっかりと達成し、次の展開へとつなげていきたいです。
岡本:まずはポッカサッポロの新しいブランドとして、Amazonの中でプレゼンスを高めていきたいです。そしてゆくゆくは、ポッカサッポロ=ソムリエウォーターと思っていただけるくらい、メインのブランドとして育てていきたいです。