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“未来の柱を創る“その想いが原動力に【豆乳ヨーグルト自社一貫製造工場 立ち上げ秘話】

ポッカサッポロ

大型容器の「SOYBIO豆乳ヨーグルト」(以下SOYBIO)の開発と同時に目指したのは、豆乳ヨーグルトの自社一貫製造工場の新設でした。

事業成長の土台となるビッグプロジェクト、その背景にどんな試行錯誤があったのか。工場新設に携わった武田さんに当時を振り返ってもらいました。

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武田 真一郎
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 レモン・プランツミルク事業本部 プランツミルク事業部長

2001年入社。サッポロビールでのビール醸造技術者としてのキャリアを経て、現在はプランツミルク事業の商品開発・生産・物流の3つのグループにおける、戦略の立案や戦略実現に向けた人材・組織・仕組み作りに取り組んでいる。

豆乳ヨーグルトの世界を切り拓くために



ポッカサッポロのプランツミルク事業のはじまりは2015年。不二製油社とトーラク社から豆乳飲料・豆乳ヨーグルトの事業を引き継ぐ形で開始しました。

当初、「豆乳で作ったヨーグルト」という小型容器の商品のみを展開しており、生産も委託していましたが、当時掲げていた「新しいおいしいを次々と生み出す」というビジョンを実現するために、“豆乳ヨーグルトの世界をもっと切り拓いていきたい”“多くの方においしく楽しんでいただきたい”そんな想いで、SOYBIOの大型容器の商品化と、豆乳ヨーグルトのための自社一貫製造工場を作る新たなプロジェクトが動き出しました。

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工場新設のコンセプトは「承継と進化」



ここでお話する自社一貫製造工場とは、大豆から豆乳を搾汁し、充填、発酵、パッケージングまでを一貫して製造する工場のことです。他社の状況はわかりませんが、原材料として豆乳を購入するのではなく、同じ工場内で「大豆から豆乳ヨーグルトのための豆乳を作り、それを発酵させて豆乳ヨーグルトを作る」のは、工場が稼働した当時としてはこの工場だけではないかと思っています。

工場新設に際し、まずは不二製油社の豆乳を作る技術と、トーラク社のヨーグルトを作る技術を再現しようと考え、何度も足を運び、それぞれの工場の設備や作り方について教えていただきました。豆乳とヨーグルトは工場、工程、もちろん設備も全く違うものでしたが、自分達の豆乳ヨーグルト工場ではこれを同じ敷地で作れるようにしようと…。教えていただいたことを応用させ「大豆から豆乳を搾汁する設備」や、「大型容器に充填する設備」など必要な工程を加え、進化させていきました。

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工場入口付近の様子。生産ラインは写真の左手奥にひろがっている。

8人で始まった工場の立ち上げ



立ち上げ当初は8人でスタートしました。私も含め、豆乳もヨーグルトも作ったことがないメンバーです。さきほどの2社からの学びはあるものの、当工場で生産するための具体的な手順書があるわけではないので、最初は「さて、どうしようか」みたいな感じでしたね(笑)。

ただ、工程を分解していくと、実は使ったことがある設備と似たものだったり、当社の他の生産ラインで培われてきた技術との共通点があったりで、それらの組み合わせとして理解できるものもありました。私の場合、サッポロビールの工場に技術者として勤務していた経験から発酵に必要な温度管理やタンクの使い方の基本的な知見がありましたし、飲料の製造に関わっていたメンバーは包装機器の取り扱いの知見がありました。それぞれが持っている原理原則についての知見と経験で想像(仮説)を補えたので、確度を上げた検討をすることができました。

さらに、一貫製造工場ならではの課題もありました。一貫のイメージとしては“回転寿司店”に似ているかなと思います。回転寿司店では商品のレーンで作り手からお客様までが一筆書きにつながっています。常にお客様に鮮度の良いお寿司をお届けするためには、お客様のご注文に応じて原料の準備(調達)から、握り(生産)を行い、レーンを使ってのお届け(物流)まで連動させなければなりません。このレーンを介した一貫の流れは、お客様のご注文に応じてスムースでタイムリーな提供を実現できる仕組みですが、一貫しているがゆえにどこかが滞れば全てが止まってしまうことになります。

豆乳ヨーグルトの自社一貫製造工場もまさに同じで、豆乳の搾汁からお客様にお届けするところまで一筆書きで繋がっているのでどこかが滞った場合、すべてがストップしてしまうのです。そうならないよう、生産工程を滞りが生じにくいレイアウト設計にすることはもちろん、設備面のメンテナンスのこと、トラブルの未然防止に繋がる人財育成のこと、トラブル発生時の柔軟・迅速に現状復帰できる体制のこと、あらゆる角度から考えていきました。

温度帯という観点でも難しさがありました。ポッカサッポロは主にドライ(常温)で賞味期限の比較的長い商品を扱っていたため、豆乳ヨーグルトのようなチルド(冷蔵)の賞味期限の短い商品の領域に踏み込むことも新たなチャレンジでした。例えば、需要と供給の差への対応においてドライとチルドでは大きな違いがあります。お客様の需要に対して供給を適正に調整することで、「余剰による廃棄を発生させないこと」と「絞りすぎによる欠品を発生させないこと」がポイントとなります。

ドライ領域においては比較的長い賞味期限を活かし、生産をある程度まとめて実施して適正な在庫を持つことで需要の変化を吸収し、廃棄や欠品を起こさないようにしています。一方、チルドの商品は、そのような需要の変化に対応するための在庫が殆どありません。賞味期限が短いので在庫が余剰となるリスクが高いからです。そこで、新たにチルドに適した需要予測や受注から生産までの仕組みなどをつくる必要がありました。これも初めての経験でした。

需要数と供給数のコントロール、ノンストップで製造できる安定した生産体制、安全安心な品質管理…全てが求められるので、現在も日々緊張感をもって生産をしています。

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大豆と過ごしたクリスマス



思い返せば当時、やることすべてが挑戦で、連続ドラマのように毎日いろんな事が起きていましたね。特に2018年12月25日、初めて大豆から豆乳を作るラインを動かした日のことはよく覚えています。機械を動かしてみたものの大豆が予定通り流れてこない。よく見ると膨れ上がった大豆が配管やタンクの中で詰まっていたのです。

どうしようもないので、みんなで黙々と大豆を掻き出しました(笑)。確かにショックはありましたが、何か吹っ切れた感もありましたね。自分たちは新しいチャレンジをしているのだから、すんなりうまくいくわけがない。むしろ、誰もケガしなかったし、原因も明らかだったので。ある意味、最高のクリスマスプレゼントだったと思います。

また別の日には、包装ラインでフタが被らずレーンが止まってしまったこともありました。下流の包装ラインのレーンが止まったことで、上流の豆乳と乳酸菌を充填する工程も滞ってしまったため、発酵を思うように進ませることができずにロスを増やしてしまいました。

眠れない日々、そして、初出荷へ



発売まであと少しというところで迎えた工場のラインテストでは発酵が途中でとまってしまうトラブルが発生しましたね。発売日というゴールは決まっているので気落ちしている暇なんてありません。この日から眠れない日々が続きました。

朝から豆乳を調合し、夕方に充填、発酵をスタート。夜中も電話をオンラインにして、現場と適宜連絡しながら発酵の進捗を確認し、幅広く事実を集め、解決策を探る。また朝になったら次のトライアルを始める、の繰り返しでした。メンバーには本当に頑張ってもらいました。当時、「この自社一貫製造工場はグループの中でも初めてのチャレンジで、今後ポッカサッポロの柱になる事業をやっているんだ!」と声をかけ、自分を鼓舞したと記憶しています。

そんな状況だったので、初めて自分達の工場からSOYBIOが出荷された時は、みんなの想いとエネルギーと時間とが一つに収まって出ていくような、感慨深い気持ちになりました。ただただほっとして、ひっそりと送り出しましたね。

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食のバリアフリーを目指して


以前、SNSで牛乳のヨーグルトが苦手というお子さんが笑顔で私たちの豆乳ヨーグルトを食べている写真を見たことがあって、その姿こそが、私たちがプランツミルク事業に取り組むことの意義なのだと腹落ちしたことを覚えています。

食卓を“寂しさや疎外感”を感じる場にしないことは大きな社会貢献の一つ。乳製品が苦手な人も、動物性食品を摂らない人も、「一つの食卓で一緒に食事を楽しむ」という食の共通体験を持てるようにしたいと思っています。「食のバリアフリー」は私の中の目標であり新たなことにチャレンジする原動力にもなっています。

豆乳ヨーグルトをはじめとする植物性食品は、今はまだ、動物性食品の代替品という位置づけをされている場面も少なくないと思いますが、もっと能動的に、意図して選んでもらえる世界がつくれるといいなと思います。牛乳を使った食品か植物性食品か「どちらかを選ぶ」ということではなく、それぞれの良さを知って「どちらも選ぶ」あるいは「組み合わせでさらに食卓を豊かにしていく」。そういった選ばれ方をしている姿が私のイメージするところです。豆乳ヨーグルトをはじめとする植物性食品の新たな価値を増やし、“あたりまえ”に食卓に並ぶようにしていきたいですね。

そしてもう一つ、未来の工場のあり方も自分にとって大事なテーマです。プランツミルク事業を持続可能なものとして継続していくためには、工場も持続可能であることが不可欠と思っています。

プランツミルクというサステナブルな商品なのに、作っている工場はそうではないというのをなくしていきたいんです。新しい考え方や技術も取り入れて、工場で働く姿も今の当たり前にとらわれずに変えていきたいと思っています。地域の中にある工場として、地域の皆さまに喜んでいただける存在になっていくと嬉しいです。

そこから生まれたプランツミルクになると一番いいなと思っています。

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様々な困難を乗り越えて立ち上がった豆乳ヨーグルトのための自社一貫製造工場。あたりまえに選ばれる未来を描きながら、これからも、SOYBIOをはじめとする「ポッカサッポロの豆乳ヨーグルト」をお客様の食卓へお届けしていきます。

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