とうもろこしの一番おいしい瞬間を見逃さない【じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ】
お湯を注ぐだけで気軽に飲めて、カラダもココロもほっこりとあたためてくれる。1996年発売のインスタントスープ「じっくりコトコト」は2021年に発売25周年を迎えました。ずっと変わらぬ味わい……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、少しずつ改良を重ねながらじっくりと育てています。
スープはそのシンプルな味わいゆえに、ごまかしはききません。もっとおいしいスープをお届けするためには、素材のおいしさを活かすことが何よりも大事なこと。そこで、コーンポタージュの原料となるとうもろこしの一番おいしくなるタイミングを求めてニュージーランドを訪ねた、別所さんに話を聞きました。
選びぬかれたニュージーランド産
「じっくりコトコト」シリーズの人気No.1※は、箱入りの「濃厚コーンポタージュ」です。原材料表示に「スイートコーンパウダー(ニュージーランド製造)」と記載されているように、ニュージーランドで栽培・収穫したとうもろこしを現地の工場でピューレにし、乾燥させてコーンパウダーに加工しています。
なぜ、「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」でニュージーランド産のとうもろこしを使っているのか?と言いますと、それはニュージーランド北島の温暖な気候が栽培に適していて、品質の良いとうもろこしがたくさん収穫できるからです。
しかも厳選されたスーパースイート種であれば、味が濃く、甘みや香りにおいても“コーンスープらしさ”を味わうことができます。一般的にスイートコーンの糖度は約12度ですが、スーパースイート種は約18度。甘いスイカで約11~13度、桃で10~12度くらいなので、果物と比較しても特に甘みが強いんですね。
もちろん、私たちはコーンパウダーをただ買い付けるだけではありません。おいしい品質を守るため、日頃から契約農場や工場と連携をとりながら現場の状況を確認したり、定期的に監査なども行っています。
すべてはお客様に安心しておいしく召し上がっていただくために。日本とニュージーランド、たとえ離れていても同じ想いで素材に向き合っています。
おいしい時期はわずか1週間
とうもろこしが最もおいしいのは、糖含量が高く、逆に澱粉(でんぷん)量は低く、皮が硬すぎない状態のものです。そのタイミングはわずか1週間しかなく、日毎に味は落ちていってしまいます。
しかも、とうもろこしは自然の中で育てるものなので、実の中の糖分、澱粉、皮の硬さは日々変化し、気温や降水量によって左右されることも……。ベストな状態で収穫するのは極めて難しいことです。
そこで私たちは、現地のフィールドマンに協力してもらい、ベストな状態を見極めてもらっています。フィールドマンは定期的に農場へ足を運んでとうもろこしの成長を確認しながら、コーンパウダーの製造に適した収穫時期を細かく調整してくれます。
また、それ以外にも、種を蒔く時期を計算し、安定して供給できるように栽培をコントロールする役割も担っています。フィールドマンはとうもろこしに詳しく、頼もしい存在であり、コーンパウダーの味を決めるのは彼らの腕にかかっているといえるかもしれませんね。
ベストな収穫時期を模索した日々
「じっくりコトコト」のコーンポタージュは、フィールドマンをはじめ、契約農場や生産パートナーの方、工場の方と一緒になっておいしさを育てていますが、さらなるおいしさを求めて、2018年に私は産地であるニュージーランドを訪ねました。
とうもろこしの収穫予定日の前後2週間以上ニュージーランドに滞在し、最もおいしい収穫時期の模索にあたりました。現地では毎日、工場から1~2時間の場所にある畑に行き、収穫したとうもろこしを両手いっぱいに抱えて持ち帰り、味見をして、粒からピューレを作って、糖度や水分、食感、大きさなどを測ってデータを取り続けました。
朝から晩までその作業の繰り返しでした……。最初はとうもろこしの軸から粒を取る作業に苦戦しましたが、徐々に慣れてきて、収穫時期による味の違いもわかるように。結果的に、ベストな収穫時期の基準を現地パートナーと共有できたことがひとつの成果になりました。
滞在中にはフィールドマンの方に試験農場を案内してもらい、新品種のとうもろこしを味見させていただきました。一言でとうもろこしと言っても、品種によって太さが違っていたり、色味も味もさまざまだったりと、驚きや発見がたくさんありましたね。
とうもろこしの鮮度は、時間との勝負
無事に収穫した後は、まさに時間との勝負になります。とうもろこしは時間が経つと味も鮮度も落ちてしまうため、収穫後はできるだけ早くコーンパウダーに加工しなければなりません。甘くておいしいコーンポタージュをお客様にお届けするためには、加工の時間をいかに短くするかがカギとなります。現在は、収穫後8~24時間以内にコーンパウダーに加工しており、時間を短縮するため、契約農場と工場の距離も考慮されています。
また、濃厚コーンポタージュならではの“なめらかな仕上がり”を叶えるため、製造工程にもこだわっています。とうもろこしの粒の中でも芯から少し離れた、特に甘みの強い黄色い表面部分だけを切り出して贅沢に使い、硬い皮はしっかりとすり潰して繊維質を除去しています。こうすることで舌ざわりの良いクリーミーな口当たりになるのです。
私がニュージーランドを訪れたもうひとつの目的が、収穫後から生産に至るための製造工程の改善でした。とうもろこしの甘さやおいしさを活かすためには鮮度を維持するスピード感が求められます。
そこで、時間のかかる工程の洗い出しを行い、短縮できる工程を何度もシミュレーションし、実現可能なのかどうか現場に立ち会って確認しました。工場の方とやり取りしながら、どうすればスピードアップできるのか一緒になって取り組みました。
「じっくりコトコト」でサステナブルな社会に貢献したい
1996年の「じっくりコトコト」発売から25年以上という時が経つなかで、日本の食生活やライフスタイルは多様化してきました。ですが、どんな時代にあっても、どんな家庭であっても、食卓にはいつでも「じっくりコトコト」があるような、そんな商品に育てていきたいですね。
私自身も開発に携わる一人として、持続可能な社会の実現に向けた商品設計に取り組んでいきたいと思っています。たとえば、廃棄されてしまう食品の可食部や代替肉の活用などには興味があります。
野菜などの廃棄されている部分にも実はおいしさがぎゅっと詰まっているんです。そのおいしさをしっかりと活かすことで、サステナブルな社会に貢献できたらいいな、と思っています。
自然が相手だからこその素材を育てる難しさ。ニュージーランドから日本へ、海を超えて届けられるおいしさへのこだわり、想い。この想いが「じっくりコトコト」のスープを通じて皆さんに届くとうれしいです。
皆さんにとって「じっくりコトコト」のスープを飲む時間がほっと幸せなひとときになるように、これからもおいしさを育てていきたいと思います。