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「会社をひとつのチームにしていきたい」社内インターン制度づくりにかけた思い

ポッカサッポロでは、新しい取り組みとして2021年から「社内インターン制度」を導入しました。
 
「社内インターン制度」とは、所属している部署以外の業務に興味・関心を持っている社員が、希望する部署で3~5日間ほど業務に携わることができる制度です。
 
この社内インターン制度を策定し、実施に動いたのが人事総務部の柳川貴紘さん。「実は上司との雑談から生まれた」という社内インターン制度策定のきっかけや思い、また実現までの日々について話を聞きました。

柳川貴紘
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 人事総務部 人事グループ アシスタントマネージャー
2008年入社。2017年に現在の部署に異動。人財育成やタレントマネジメント、採用などを担当。

「社内インターン制度」導入の2つの理由


社内インターン制度の目的は、「人と組織の相互理解を深める」「『自立と挑戦』に溢れた風土をつくる」という2つがあります。
 
「人と組織の相互理解を深める」とは、組織や業務の壁を越え、社員が互いに理解・協力し合うことでチームとして成熟していきたいという考えです。世の中には大きな資金力・ブランド力を持った企業が数多くあります。その企業たちと競っていくには、世の中の変化やお客様のニーズにいち早く気づくための「チームとしての組織力」が欠かせません。
 
そこで課題となるのは、部署間の相互理解です。社内の各部署は、それぞれ会社の理念・ビジョンという同じ目標に向かって仕事に取り組んでいます。しかし、自分が属していない部署の仕事や状況を知らないという課題もありました。これでは、会社全体でひとつのチームとして一致団結することは難しいですし、最悪の場合、互いに足を引っ張り合ってしまうことになってしまうかもしれません。
 
私自身、今は人事部に所属していますが、もともとは営業職でした。営業の場合、“今”商品が売れるか売れないかを重視する。でも、マーケティングの部署の担当者は、“将来”商品が売れるか売れないかも考えています。当時は気づきませんでしたが、営業とマーケティングでは、見ている時間軸が違ったんですね。人事という経営に近い部署となって、見え方が大きく変わって、たくさんの気づきがありました。

もう一つの目的である「『自立と挑戦』に溢れた風土をつくる」は、当社の人事ポリシーにおいて最も大事にしているキーワードです。
 
これまでポッカサッポロは、100%レモン果汁やHOT&COLD自動販売機など、今となっては食生活において当たり前となったものを生み出してきました。0から1を生み出してきた会社の歴史を未来へ紡ぐため、自らリーダーシップを発揮し、新しいことに挑戦していく人財が出てきてほしいと考えています。
 
また、今は会社と社員の関係性が変わってきていて、従来の雇用主と労働者という“タテ”の関係から、共に理念やビジョンを実現するパートナーという“ヨコ”の関係となりつつあります。
 
当社の歴史と、今の社会情勢を鑑みて、知らない部署や業務を知ることができれば、社員が各々のキャリアを自分で切り拓くための一助となる。そのためにも、若手・ベテラン問わず社内インターン制度を活用してほしいと考えたのです。

きっかけは「上司との雑談」。社員のヒアリングを重ねて、制度づくりをすすめた


社内インターン制度の構想は2020年、当時の上司との雑談の中から生まれました。「こんな仕組みがあったら面白いと思うんです」と話したら「面白いからやってみようよ」と背中を押してもらえました。もし、「失敗するなよ」というプレッシャーを受けていたら、一歩を踏み出せていなかったかもしれません。
 
そうと決まれば、行動あるのみ。社員へのヒアリングを行いながら、企画設計に取り掛かりました。社員から不安の声が出るのではないかと思いましたが、楽しそうと好意的にとらえてくれる声が多かったです。特に若手からは「今後のジョブローテーションを見据えて、いろいろな部署を知ることができる」と歓迎ムードでした。

人事総務部内でもヒアリングを重ねたという柳川さん

また、ヒアリングを通して分かったのが、管理職の方も社内インターン制度に興味を持ってもらえたということです。そもそも社内インターンは一般社員を対象にした制度で、管理職には資格がないのですが、「私もやりたい」という声も上がりました。これは意外なニーズでしたね。新しい施策に対して否定的で後向きな意見ではなく、前向きな意見がもらえるのは、ポッカサッポロの社風かもしれません。
 
ただ、社内インターン制度の導入で最も大変だったのは、企画を作る段階ではなく、社員に伝え、理解・共感してもらうことでした。特に、希望者を受け入れてくれる部署の理解が得られるか、これが最も重要なポイントでした。日々の業務で忙しい中、何も知らない他部署のメンバーを5日間、受け入れて仕事を教えなければいけない。スケジュール調整に加え、教えるための時間や手間もかかります。
 
負担が掛かる施策をメールや電話だけで連絡・相談しても受け入れられるはずはありません。だからこそ、各部署長の理解を得るために、直接出向いて、説明することを心がけました。各部署長一人ひとり丁寧に制度の目的や想いを伝えていきました。
 
その甲斐もあってか、当初の想定以上の部署から受け入れ協力が得られたのです。中には「柳川の頼みだから協力してあげるよ」と言ってくれた部署長もいて、人の温かさやつながりに感謝したことを覚えています。

もちろん、中には厳しいお言葉をいただくこともありました。部署長たちは限られた人員、期間の中で業績・成果を上げることを求められています。そんな中、重要度は高いけれども緊急性の低い社内インターンの実施、加えて新型コロナウイルスによる環境の変化もあり、「今やらないといけないのか?」という声も上がりました。正直、この時ばかりは「このまま続けていいのだろうか」と悩みましたし、心が折れかけました。
 
でも、そんなとき、上司から「みんなが言っていることは分かる。コロナ禍で状況もかんばしくなく、目の前の業務でいかに成果を上げていくかが求められている。ただ、このような状況だからこそ、未来に向けた種を蒔く必要があるのではないか」と、再び背中を押してもらいました。その瞬間、私の中で「この制度を必ず実現させよう」と、ギアが一段上がりましたね。

参加者からの評価は上々。しかし、まだまだ課題も……


2021年、社内インターンを無事に実施することになりました。4月から参加者の募集をかけ、参加者と部署とのマッチングを人事グループで行いました。7月から12月の間に、各部署のタイミングで社内インターンを実施。ただ、首都圏で緊急事態宣言が発令されたこともあり、一部を延期したり、オンラインで代替できる部署はリモートワークでお願いしたりしました。
 
インターン先のプログラムは、受け入れ部署にお任せしています。例えば、営業の部署であれば、実際、商談に参加して取引先へのプレゼンテーションを行ったり、我々人事の部署であればオフレコの会議に出席してもらったりすることもあります。もちろん「誰にも言うなよ」って念を押しました(笑)。他の部署から来た“お客様”として参加していたのでは、その部署の本来の姿は見えませんから、受け入れ部署の“一員”として働いてもらうのです。表も裏も含めてリアルを知るということに拘りました。
 
その甲斐もあってか、終了後のアンケートの結果は、ほぼ全員が「大変有意義な機会になった」と回答してくれました。26人が参加し、5段階評価で平均4.90。このアンケート結果は正直驚きましたし、同時に手応えを感じました。ただ、「楽しかった」で終わってしまっては次につながりません。参加者の課題と紐づけた振り返りができるワークショップも実施して、これからの業務にもインターンの経験を生かせるように工夫しています。

社内インターンの経験から得た気づきや学びを整理するためのワークシートも用意

参加者からは「他部署の仕事が理解できた」という声が多く寄せられたのですが、裏を返せば、5日間の業務を体感するだけで分かることすら知らなかったということでもあります。いかに普段から私たちが部署という小さな単位のみで仕事をしていて、会社という単位で仕事ができていないのかを実感しました。我々が目指す相互理解というゴールに向けて、この制度の必要性も改めて痛感しています。
 
あわせて、今後は参加者のアンケート結果だけでなく、社内インターン制度がもたらす成果についても注視していきたいですね。その後の業務で社内インターンの経験が生かされているのか、これをきっかけに新たなプロジェクト案件が進むのかなど、このような成果があって初めて社内インターン制度が有意義な施策だったと言えると思います。

社内インターン制度を“会社を代表する施策”にしたい


2021年は17部署の受け入れに対して参加者は26人。2022年は31部署の受け入れに対して40人が参加してくれました。受け入れ部署数も参加者も増加していますが、ポッカサッポロ全体の社員総数を考えるとまだまだ十分ではありません。しかし、確実に制度が社内に浸透していると感じます。

「お客様相談室」へ社内インターン中の柳川さん

また、2022年からは新たな試みとして関係会社へも社内インターン制度の枠が広がりました。今はポッカサッポロに限って展開していますが、いずれはサッポログループ内の会社をまたいだ社内インターンが実現できたらと考えています。社内インターン制度実施に協力し合うだけでなく、関係会社の課題解決にも役立つ形でWin-Winな仕組み作りをしていきたいですね。
 
そのためには、制度の定着が欠かせないと思います。1人でも多くの社員に「社内インターンは自分にとって大切な施策だ」と感じてもらって、参加してもらう。そしてゆくゆくは社内インターンが会社を代表する施策のひとつになってほしいと思っています。

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