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北海道の豊かな未来を地域の視点で描くポッカサッポロ北海道の取り組み

ポッカサッポロには北海道限定商品「リボンナポリン」や、北海道産素材(以下、道産素材)から生まれた「北海道コーン茶」「富良野ホップ炭酸水」「北海道夕張メロンソーダ」など、北海道にまつわる商品が数多く存在します。
 
これらの商品を軸に、北海道エリアに特化した営業・マーケティングを担うのが、ポッカサッポロ北海道株式会社(以下ポッカサッポロ北海道)です。扱う商品は同じですが、独自のビジョンを掲げて地域との関係性を重視した経営に注力しています。

今回は、ポッカサッポロ北海道の代表を務める黒柳伸治さんに、ポッカサッポロ北海道の未来に向けた取り組みについてお話をお聞きしました。

黒柳伸治
ポッカサッポロ北海道代表取締役社長(取材当時)1993年ポッカコーポレーション入社。ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社発足後、2018年経営戦略部部長、2019年価値創造飲料事業部部長を経て2022年3月より現職。

“サッポロ”ブランド誕生の地・北海道に拠点を構え、地域に向けたまなざし


ポッカサッポロフード&ビバレッジは、2013年にポッカコーポレーションとサッポロ飲料が統合したところから新たな歩みを始めました。その翌年、北海道エリアの営業とマーケティングを管轄する会社としてポッカサッポロ北海道は誕生しました。北海道のみ別会社を設立した背景には、北海道で育まれてきたサッポロホールディングスの“地の利”を活かそうという経営判断があります。

サッポロホールディングスの創業の地である北海道において、“サッポロ”ブランドの知名度は極めて高く、道内における影響力は大きなものでした。そもそも札幌という地名を社名に冠すること自体、珍しいですよね。こうした企業ブランドに根付く道内のお客様や社員の愛着が深いことを踏まえ、地域に根差した事業戦略を推進するのがポッカサッポロ北海道の役割です。

私自身、ポッカサッポロ北海道の代表取締役就任以前は、ポッカサッポロ社で商品開発やマーケティングに長く携わっていたので札幌出張の機会は多くありましたが、北海道全体の広さや自然の雄大さに触れる機会はそう多くありませんでした。就任後は札幌を拠点としつつ、北海道各地に足を運ぶ機会が増えたことで、改めて北海道の魅力を存分に感じることができています。
 
土地としての魅力が深く、人々の深い地元愛に支えられた北海道。ここを拠点とするマーケティングの大方針として私たちは地域に貢献できる活動を中心に据えることを決めました。

北海道の親から子へと受け継がれ続けるRibbonブランドと啓発活動


私たちが注力しているテーマのひとつとして、北海道限定商品「リボンナポリン」を通じた道民との関係構築があります。

1911年発売当初のナポリン(一番左)と、現在のリボンナポリン(一番右)

「リボンナポリン」はオレンジ色の炭酸飲料で、その歴史は前身の「ナポリン」が発売された1911年からはじまります。100年以上の歴史を持ち、北海道の家族三世代にわたって愛されてきた炭酸飲料というのは独自の存在だと認識しています。
 
ロングセラー商品ではありますが、「リボンナポリン」をはじめとする『Ribbonブランド』が “道民の過去と未来をつなぐ存在であり続ける” ために、今もなお家族三世代に向けてマーケティング活動を継続しています。
 
たとえば、全道179市町村の全公立小学校の新1年生に対して、北海道日本ハムファイターズや北海道コンサドーレ札幌などの地元プロスポーツチーム、そして北海道交通安全推進委員会の協力を得て「リボンナポリン」とマスコットキャラクターの「リボンちゃん」をあしらった交通安全啓発グッズを寄贈する取り組みを実施しています。
 
安全に対する意識を高めて健やかな毎日を送ってほしいという想いを込めていますが、取り組みを継続していくことで、子どもたちにとって「リボンナポリン」や「リボンちゃん」が日常にあたりまえにあるものとして認識されていくことも視野にいれています。

リボンちゃんの幼稚園訪問。歌とダンスで楽しい時間を提供します。

マスコットキャラクターのリボンちゃんについては、幼稚園訪問をして楽しい時間を提供するほか、ご家族向けのエコバッグ配布といった機会を通じて地域の皆さんとの接点を多く設けています。
 
すぐに売り上げに繋がるわけではないですが、子供たちにとって「リボンちゃん」「リボンナポリン」と過ごす時間が楽しい記憶として残ればと思っています。地道な活動ですが、子供たちから御礼のお手紙やイラストをいただくと効果的な取り組みであると感じますね。
 
2022年には、リボンちゃんが北海道の179市町村を紹介する書籍を出版し、全道の公立小・中学校と公立図書館に寄贈させていただいています。自分たちの暮らす街や北海道全体について、子どもたちに興味を持ってもらいたいという願いも込めました。もちろん、ナビゲーターを務めるリボンちゃんにも好意を持ってもらえたら嬉しいと思っています。

2022年に出版した「リボンちゃんとめぐる北海道179市町村」

私たちはいちメーカーですが、商品の売上やブランド浸透といった目標以前に、北海道にとって役立つ、地域に愛される企業になることを目指しています。「リボンナポリン」や「リボンちゃん」を通じた地道なマーケティング活動を継続していくことで道民の皆さんにとって大切な記憶や絆の一部を担うような企業になりたいと願っています。

道産食材のサステナビリティを支える『TOCHIとCRAFT』


私たちは道産素材に焦点をあてた商品のマーケティングにも注力しています。その一つが『TOCHIとCRAFT』という飲料ブランドです。
 
『TOCHIとCRAFT』は、商品を通してその土地の文化や伝統を広めたいという思いのもと、日本各地の希少素材にこだわった無糖茶や果汁を使った商品を展開しています。ただ素材を使うだけでなく、「生産者の想い」「地域との連携」「その土地が持つ文化」といった社会的価値やこだわりといった魅力も発信しています。

道産素材を使ったTOCHIとCRAFTの商品

『TOCHIとCRAFT』のラインナップには全国各地の希少素材を使った商品が並びますが、北海道からも「富良野ラベンダーティー」「富良野ホップ炭酸水」「北海道コーン茶」「北海道夕張メロンソーダ」が発売されています。これらはいずれも、サッポロホールディングスがこれまで関係性を築いてきた自治体や生産者の皆さんから伺った課題を発端に生まれた商品です。

たとえば、「富良野ラベンダーティー」は食用ラベンダーを生産する上富良野の農家さんと契約して作った食用ラベンダーを使った商品です。富良野のラベンダー畑は有名ですが、食用ラベンダーの需要は少なく扱う農家さんはごくわずか…。こうした食用ラベンダーの生産応援を目的に開発されました。

もうひとつの人気商品である「北海道コーン茶」の原材料には、飼料や加工食品用原料として幅広く使われているデントコーンという品種を利用しています。なぜこの品種に着目したかというと、実はデントコーンはほとんどを輸入に頼っている状況だそうで、生産者さんの「国産のデントコーンの認知を増やして日本の食糧自給力を向上させたい」という想いをお聞きしたからです。また、小麦や大豆を生産する際も、とうもろこしを輪作すると連作障害を回避しやすく収穫量もアップするそうです。デントコーンを飲料に活かすことでサステナブルな生産サイクルを生み出す支援につながると考えたことが「北海道コーン茶」誕生の背景にあります。

手前にあるのがデントコーン。

コロナ禍において観光旅行などの移動が制限された時期、eコマースの需要が急増しました。この期間、ポッカサッポロの商品群のなかで最も売上が伸びたのが「北海道コーン茶」でした。たくさんの方に購入いただいたことで地元に恩返しができたのではと考えています。
 
また、「富良野ホップ炭酸水」についても需要が伸びたのですが、実際の購入者比率を見てみると、道内の方々が最も買ってくださっていたのです。私たちは改めて地元の皆さんが道産素材を愛する気持ちを強く持っていることを受け止め、地元に根差したマーケティングの重要性を再認識しました。

レモンで道民の健康を支える取り組みで、地元に新しい「おいしさ」を提供したい


このほか、私たちはポッカサッポロの主力事業であるレモンについての価値を伝える活動も進めています。レモンにはビタミンCのほか、疲労感を軽減する働きのあるクエン酸など様々なチカラがあるので、レモンを通じて道民の皆さんに健やかな生活を提供できればと考えています。

 具体的には道内スポーツ教室や大学でのセミナー、主婦層に向けた料理教室の開催など、地元に根差した施策に注力しています。特に北海道は生鮮食品がおいしい土地でもありますから、厚岸(あっけし)の牡蠣や北見(きたみ)の焼肉との組み合わせなど、地域のおいしい食材をさらに引き立てるようなレモンの活用法を提案していきたいです。

世界に誇れる北海道の魅力と未来を、ポッカサッポロ北海道が支えていく


「『Ribbonブランド』で世代を繋いでいくこと」「道産素材でお客様と地域を繋ぐこと」そして「道民の健康な生活に貢献していくこと」。ここまでお話してきたこれら3つの柱に紐づく取り組みに注力していきます。そして今後は「世界に誇れる北海道」という視点もマーケティングにおいて重視していきたいと考えています。

北海道は国内でも極めてすぐれた観光資源をもつ土地です。その魅力を国内だけでなく海外の方々にも届けることは、私たちが北海道に対してできることのひとつだと捉えています。
 
コロナで観光業界は大きな打撃を受けましたが、2023年に入り徐々に市況も変化しています。昼は「富良野ラベンダーティー」を飲みながら観光し、夜は「サッポロビール」を楽しみ、お土産に「リボンナポリン」を手に取る。こうした私たちが提供できる“おもてなし”の形を模索していきたいです。

とはいえ、ポッカサッポロ北海道は創立10年とまだまだ若い企業です。「リボンナポリン」や「リボンちゃん」が地元から愛されていること、“サッポロ”ブランドが浸透していることは間違いありませんが、それらとポッカサッポロの関連性、ひいては私たちポッカサッポロ北海道自体のコーポレートブランドというものは、まだ認知されていないのが現状です。
地元愛を基盤としたポッカサッポロ北海道のコーポレートブランドを確立し、サッポロホールディングスとの親和性を道民の皆さんに広めていくことが、今後の活動のポイントになると考えています。 

食、農、観光、文化、教育など多角的な観点から、食品飲料メーカーが地域に貢献していく。こういった事業戦略を展開できるのは、道民の地元愛が根強く、北海道ならではの土地柄があるからこそです。その特性をしっかり活かしつつ、道民の皆さんに「ポッカサッポロ北海道が好きだ」と思ってもらえる、そして商品を選んでもらえる企業になれるよう、これからも地域に根差した活動を続けていきたいです。


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