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レモンそのもののファンを増やしたい【「レモン啓発」という仕事】

誰もが知っていて、とても身近な存在のレモン。でも、レモンについて深く考える機会は意外と少ないかもしれません。
 
現在、ポッカサッポロでは「レモン啓発」に力を入れており、「キレートレモン」や「ポッカレモン100」といったレモンを使った製品だけでは伝わらないレモンの魅力を、ウェブサイトや小学校への出張授業などを通して発信しています。
 
そのレモン啓発の活動を担当している一人が、髙橋佳那さん。「レモンそのもののファンをもっと増やしたい」と語る髙橋さんのレモン啓発に対する思いについて話を聞きました。

※レモン啓発とは、知られていないレモンの健康機能や普段の生活にお役立ちする情報を生活者の皆様にお伝えする活動のことです。

髙橋佳那
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 レモン・プランツミルク事業本部 オールレモン事業部 商品戦略グループ
2014年入社。2018年に現在の部署に異動。商品担当との兼務でレモンに関する情報発信に携わり始め、2021年4月から専任。管理栄養士の資格をいかして小学校への出張授業を主軸としたレモンセミナーやヘルシーレモン検定、レシピ開発などを担当している。

「レモン」という素材に興味をもってもらいたい


ポッカサッポロのことを「レモンの会社」として知ってくださっている方も多いかもしれません。当社は「キレートレモン」や「ポッカレモン100」などのレモン商品を製造・販売しているほか、レモンの素材研究、そして自社レモン農園の運営も行っています。
 
でも、それらだけでは世の中のみなさんにレモンの良さや価値が伝わりません。酸っぱくてビタミンCが豊富ということを知っている人は多くても、ポリフェノールやリモネンが含まれていたり、レモンの酸味を利用して減塩できるといったことはまだまだ認知されていないと思うんです。

あと意外と知られていないのが、世界でレモンがどのように楽しまれているのか、ということ。日本と比較すると、イタリアやギリシャ、スペインなどではなんと10倍以上の量が消費されているのです。食べ方も国によって違いがあっておもしろいんです。スペインでは、くし切りにしたレモンを料理に添えて一緒に食べる楽しみ方が人気で、イタリアでは皮ごとそのまま食べるレモンサラダがあったりします。ギリシャでは、日本でも塩レモンが流行ったように、調味料として使われていますね。
 
そういったレモンという素材そのものにもっと興味を持ってもらい、レモンのファンになっていただけるような機会を「レモン啓発」というかたちで展開しています。
 
現在、レモン啓発の活動を担当しているメンバーは4名。幅広い世代への食育セミナーを中心に、レシピ開発、ヘルシーレモン検定、新規コンテンツの探索などを通して、レモンという素材そのものの啓発活動を展開しています。

当社オリジナルキャラクターの「レモン忍者 レモンじゃ」
飲み物や料理のおいしさを引き立てるレモンの秘伝の術を教えてくれる


小学校への出張授業で、子どもたちにレモンの魅力を伝える


特に現在力を入れているのが「小学校での出前授業」です。大学時代に栄養教諭の免許を取得する際に、子どもたちへの食育の大切さを学んだことから、出前授業の企画を立案しました。
 
出前授業は、2022年4月から東京都23区の小学校を対象に行っており、年内で40校を回る予定です。
 
授業では、レモンの歴史や物語、食文化、健康機能、調理機能の4つのパートに分けてお話しします。クイズを取り入れたり、レモンにまつわる実験を行ったり、レモン果汁でラッシー風ドリンクをつくるシェイカーを渡したりと、子どもたちを飽きさせず、楽しく、記憶に残る時間になるように工夫して授業をしています。クイズや実験を通して子どもたちが楽しんでくれているのを見られるのが嬉しいですね。

出前授業の様子

1日の授業が終わる頃には声がガラガラになってしまったりもするのですが、学校の先生方からは「とてもわかりやすかった」「来年以降もまた実施してほしい」といったお声も多く頂いています。授業で教えたレシピを「早速家で作ってみた」といってくれるお子さんもいて、あとから聞いて嬉しくなります。

出前授業で使用する教材。レモンじゃが描かれたアイテムは小学生に大人気

……ただ、ここに至るまでには失敗もあって。あるとき、広島にあるレモン農園から中継をつないで、育てているレモンの様子を全国300人の子どもたちに見せるオンライン授業を行ったんです。しかし、農園の電波環境が良くなかったため、現地に行っていた上司の動きがカクカクになってしまって(笑)。レモンの魅力を伝えたい思いが強かったのですが、事前にリサーチしていなかったことを反省しましたね。


ヘルシーレモン検定や骨密度測定で、社内にもレモンを啓発


私たちのレモン啓発活動は社外だけにとどまりません。レモン事業は当社の基幹事業の一つですから、1人でも多くのお客様にレモンを好きになっていただくには、レモンを熱く語れる社員を増やす必要があるのです。
 
そんな思いで、2013年からスタートしたのが「レモン検定」です。レモンの歴史、生産状況、国内外の食べ方、そしてカットの方法まで多岐にわたる内容が出題されます。
 
2021年からは「ヘルシーレモン検定」に名称を変え、健康そのものに関する理解を深めようと、健康的な食事習慣に関する内容も盛り込みました。自社のレモン商品や素材をより深く知ることで、健康についての意識を高め、実際に社員自身も健康になっていけたらと思っています。

ヘルシーレモン検定の問題は、品質保証と知財の部署、そして私たちからなる「問題作成委員会」で作成しています。私自身も、管理栄養士の資格を活かして問題作成に携わっています。レモンに関して広い情報をカバーしている「レモンバイブル」は、テキストとして全社員に配布しています。
 
ヘルシーレモン検定では、100点満点のうち、70点以上を正解できれば「ヘルシーレモンマイスター」に合格、95点以上が「ヘルシーレモンマイスター上級」となります。検定を受ける人数は年々増えてきていて、現時点での「ヘルシーレモンマイスター」は社員のうち約半数の550名ほど。なかには100点満点を取った人が4人もいました。問題を作っている私たちから見ても、満点を取るのは相当難しいと思うのですが……。

名刺にこのシールが貼られていたら、レモンに詳しい社員の証

そして、合格者には、ヘルシーレモン検定の小さなシールを配っています。名刺に貼ることができるので、名刺交換のときにシールがきっかけとなってレモンの話題になるなど、さまざまな部署の社員が「役に立っている」と言ってくれています。
社員には、この知識を業務に活かして、レモンのファンを増やしていってもらいたいですね。昨今の健康意識の高まりや健康経営に対する高い注目度から、社員がレモンを用いて健康価値を提案できるシーンもますます広がっていくと思っています。
 
また、骨粗鬆症財団と連携して、年に1回の社員の健康診断時に骨密度測定も開始しました。実は、レモンに多く含まれるクエン酸は骨の健康に効果的なんです。ヘルシーレモン検定などを通して、その知識を持っている社員は多いのですが、骨密度を測ることではじめて自分自身の体と知識を結びつけて考えることができます。自分の骨密度を知って「こんなに低いと思わなかった」と言う人も少なくありません。


レモンのファンになってもらえる関係づくりの継続


さらに最近では、当社が運営するウェブサイト「レモンミュージアム」をリニューアルしました。もともとは「レモンを知る」「レモンにふれる」の2つを軸にしていましたが、新たに「レモンをとる」を追加しています。日常生活にレモンを取り入れてもらうためにおすすめのレシピなどを掲載しています。ちなみに私はドリンクに「追いレモン」したり、餃子のタレとして「レモン胡椒」を使うのが好みなので、おすすめしたいですね。

東京・恵比寿の本社にはレモンの木を数本植えています。取材当日はまだ青々としていました

ほかにも、ウェブチームと連携してレモンの情報をウェブサイト上で紹介しています。レモンを使ったライフハックやレシピがSNSで拡散されていたら、当社の研究所で正確性や構造を検証し、その結果を発信することもあります。情報のインプットとアウトプットを続けて、これからも積極的にレモン啓発をすすめていきたいです。

私たちは、他の部署よりも生活者のみなさんと直接コミュニケーションを取る機会が多い部署です。食育活動を主軸にしながら、これからも幅広い年代の方にレモンのファンになってもらえる関係づくりをしていきたいと思っています。こちらからの発信のみにとどまらず、生活者のみなさんからレモンにまつわるアイデアを教わり、さらに深堀して発信していけるようなサイクルをうまく循環させていきたいです。レモンのもつおいしさや価値が生活の中に当たり前にあり、生活者のみなさまにお役立ちできる存在になっていけたら嬉しく思います。

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